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夏潮 (駆逐艦) : ミニ英和和英辞書
夏潮 (駆逐艦)[なつしお]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [なつ]
  1. (n-adv,n-t) summer 
: [しお]
 【名詞】 1. tide 2. ebb and flood 3. salt water 4. opportunity 
駆逐 : [くちく]
  1. (n,vs) extermination 2. expulsion 3. destruction 
駆逐艦 : [くちくかん]
 【名詞】 1. destroyer 
: [かん]
  1. (n,n-suf) warship 

夏潮 (駆逐艦) : ウィキペディア日本語版
夏潮 (駆逐艦)[なつしお]


夏潮(なつしお/なつしほ)は、日本海軍駆逐艦#達昭和13年9月(2)pp.15-16『達第百四十五號 艦艇製造費ヲ以テ昭和十二年度及昭和十三年度ニ於テ建造ニ着手ノ驅逐艦三隻潜水艦三隻掃海艇二隻及驅潜艇四隻ニ左ノ通命名ス|昭和十三年九月二十日 海軍大臣 米内光政|舞鶴海軍工廠ニ於テ建造 驅逐艦 親潮(オヤシホ)/株式會社藤永田造船所ニ於テ建造 驅逐艦 夏潮(ナツシホ)/株式會社川崎造船所ニ於テ建造 驅逐艦 初風(ハツカゼ)|佐世保海軍工廠ニ於テ建造 伊號第十八潜水艦/三菱重工業株式會社神戸造船所ニ於テ建造 伊號第二十潜水艦/株式會社川崎造船所ニ於テ建造 伊號第二十二潜水艦(以下略)』〕。一等駆逐艦陽炎型の6番艦である〔#昭和16年12月31日現在艦艇類別等級p.8『驅逐艦|一等|陽炎型|陽炎、不知火、黒潮、親潮、早潮、夏潮、初風、雪風、天津風、時津風、浦風、磯風、濱風、谷風、野分、嵐、萩風、舞風、秋雲』〕。1942年2月、マカッサル沖で潜水艦の雷撃により戦没した。なお、本艦は陽炎型全19隻のうち最初の沈没艦となった。艦名は海上自衛隊のなつしお型潜水艦「なつしお」、はるしお型「なつしお」に継承された。
== 艦歴 ==
駆逐艦夏潮は藤永田造船所1937年(昭和12年)12月9日に起工〔#昭和16年6月30日現在艦船要目公表範囲p.20『艦名:夏潮|艦種:一等駆逐艦|(性能略)|製造所:藤永田造船所|起工年月日12-12-9|進水年月日14-2-23|竣工年月日15-8-31|(兵装略)』〕。
1938年(昭和13年)9月20日、日本海軍(米内光政海軍大臣)は舞鶴海軍工廠で建造の陽炎型4番艦を親潮、藤永田造船所の陽炎型6番艦(本艦)を夏潮、川崎造船所の陽炎型7番艦を初風と命名した〔。
夏潮は1939年(昭和14年)2月23日進水〔。建造は陽炎型3番艦黒潮と同時に進められた〔『○艦船所在 ○二月二十四日午前十時調』〕。
1940年(昭和15年)1月27日、藤永田造船所で姉妹艦の黒潮が竣工〔#陽炎型(2014)304頁『黒潮(くろしお)』〕。
5月1日、日本海軍は睦月型駆逐艦5番艦皐月艦長〔昭和12年7月1日付 官報第3013号。国立国会図書館デジタルコレクション 永続的識別子 info:ndljp/pid/2959495 p.3で閲覧可能。〕、白露型駆逐艦8番艦山風艦長、吹雪型駆逐艦浦波艦長等を歴任した野間口兼知中佐を夏潮艤装員長に任命した。同日附で早潮艤装員長も任命されている〔。
5月3日、藤永田造船所に夏潮艤装員事務所を設置する〔『○事務所設置 天津風艤装員事務所ヲ舞鶴海軍工廠内ニ設置シ五月六日ヨリ事務ヲ開始セリ/夏潮艤装員事務所ヲ大阪市住吉區柴谷町藤永田造船所内ニ設置シ五月三日ヨリ事務ヲ開始セリ』〕。
同年8月31日〔〔に竣工。姉妹艦早潮と同日附の竣工であった〔#昭和16年6月30日現在艦船要目公表範囲p.20『艦名:早潮|艦種:一等驅逐艦|(性能略)|製造所:浦賀船渠會社|起工年月日13-6-30|進水年月日14-4-19|竣工年月日15-8-31|(兵装略)』〕。呉鎮守府籍。野間口艤装員長も制式に夏潮駆逐艦長となる。夏潮艤装員事務所も撤去された〔『○雑款 五|三五九八|夏潮艤装員事務所撤去』〕。
同日(8月31日)附で、日本海軍は既に竣工していた親潮と完成したばかりの2隻(夏潮、早潮)で第15駆逐隊を編制していた〔#陽炎型(2014)113-114頁『第十五駆逐隊(黒潮・親潮・早潮・夏潮・陽炎)』〕。駆逐隊司令には、初春型駆逐艦2番艦子日初代艦長や同型吹雪艦長〔昭和10年11月11日付 官報第2658号。国立国会図書館デジタルコレクション 永続的識別子 info:ndljp/pid/2959137 p.4で閲覧可能。〕、特務艦野島特務艦長を歴任した植田弘之介大佐が任命された。
11月15日、第15駆逐隊は第二艦隊・第二水雷戦隊(司令官五藤存知少将)に編入〔。同時に第16駆逐隊に所属していた姉妹艦黒潮が第15駆逐隊に編入され、15駆は定数4隻を揃えた〔。
1941年(昭和16年)6月18日、第15駆逐隊司令は植田大佐から佐藤寅治郎大佐(前職第4駆逐隊司令)〔後日、軽巡洋艦神通艦長。神通沈没時に戦死(コロンバンガラ島沖海戦)〕に交代した(植田は9月20日より日本丸監督官)。
6月23日、日向沖で実施された演習で夏潮は朝潮型駆逐艦峯雲と衝突、さらに峯雲と黒潮が衝突する多重事故が発生した。
9月15日、第二水雷戦隊司令官五藤存知少将は第六戦隊(青葉加古衣笠古鷹)司令官へ転出(サボ島沖海戦で青葉大破時に戦死)、後任の二水戦司令官は第六潜水戦隊司令官田中頼三少将となった。
10月20日、野間口(夏潮艦長)は第5駆逐隊(春風朝風旗風松風)司令を命じられ、海軍省人事局局員長井純隆中佐が二代目夏潮駆逐艦長となる。長井は初春型2番艦子日二代目艦長だった事がある(前の15駆司令植田大佐は、子日初代艦長)〔。
10月25日、佐藤(15駆司令)は司令駆逐艦を早潮から夏潮に変更した〔『○司令驅逐艦復帰 第十五驅逐隊司令ハ十月二十五日司令驅逐艦ヲ早潮ヨリ夏潮ニ變更、同二十六日早潮ニ一時變更同日復帰セリ』〕。
太平洋戦争開戦時、陽炎型姉妹艦4隻(黒潮親潮早潮、夏潮)は引続き第15駆逐隊(司令佐藤寅治郎大佐)を編制、第二水雷戦隊(司令官田中頼三少将:旗艦神通)に所属し、比島部隊(指揮官高橋伊望中将/第三艦隊司令長官)の指揮下にあった〔#戦史叢書26海軍進攻作戦付表第一『南方部隊作戦関係主要職員表 昭和十六年十二月八日』〕。当事の第二水雷戦隊は、第15駆逐隊以外に第8駆逐隊(大潮朝潮満潮荒潮)、第16駆逐隊(雪風時津風初風天津風)、第18駆逐隊(不知火陽炎)が所属していたが、第8駆逐隊は南方部隊本隊(指揮官近藤信竹第二艦隊司令長官)、第18駆逐隊は南雲機動部隊警戒隊(指揮官大森仙太郎第一水雷戦隊司令官)に所属して、第二水雷戦隊本隊とは別行動である〔。
1941年(昭和16年)12月上旬より、ダバオホロ攻略作戦に参加した〔〔#陽炎型(2014)303-304頁『夏潮(なつしお)』〕。1942年(昭和17年)1月、メナド攻略作戦に参加し、以降ケンダリー攻略作戦、アンボン攻略作戦に参加。フィリピン方面の作戦が一段落すると比島部隊は蘭印部隊となり、東南アジアでの作戦に従事する。2月1日の時点で、第15駆逐隊は司令艦/第1小隊1番艦夏潮、2番艦黒潮、第2小隊3番艦親潮、4番艦早潮という編制であった〔#昭和17年2月二水戦日誌(1)p.6『(二)2月中ノ2sd艦隊區分 (一)二月一日現在』〕。
2月5日、マカッサル攻略作戦に従事する部隊(軽巡長良、水上機母艦瑞穂、第8駆逐隊、第15駆逐隊等)はセレベス島スターリング湾に集結した〔#戦史叢書26海軍進攻作戦262頁〕。前日には駆逐艦涼風#高松宮日記4巻88頁『○「涼風」我敵潜ノ雷撃ヲ前部舟左〔左舷〕ニ受ク、一八三五(平文)四日』〕が米潜水艦スカルピン(''USS Sculpin, SS-191'')の雷撃で大破しており、船団はすでに連合国軍潜水艦に狙われていた。2月6日夕刻、マカッサル攻略船団はスターリング湾を出撃〔。その前路掃蕩に従事していた第8駆逐隊の満潮はスカルピンに爆雷攻撃を行うが、スカルピンを取り逃がした(満潮報告では効果確実)。
2月8日、船団はマサッカルに接近するが天候不良となり、第一根拠地部隊指揮官久保九次少将は指揮下部隊・各艦に天候不良時の上陸方法について指示を行う〔#戦史叢書26海軍進攻作戦263-265頁『「夏潮」の被雷、上陸』〕。マサッカル入港時、攻略船団は各艦相互に通信をおこなって識別灯を点灯しており、対潜警戒をおろそかにしていた〔。
22時15分〔#昭和17年2月二水戦日誌(3)p.11『第15駆逐隊司令→8日2350第二水雷戦隊司令官・第一根拠地部隊司令官(蘭印部隊)/2215夏汐雷撃ヲ受ケ3缶前部機械室浸水今ノ処沈没ノ憂キナキモ行動不能、位置(5°-36.9′S・119°-6.6′E)2225』〕〔#高松宮日記4巻97頁『○八日二二一五「マカッサル」沖ニテ「夏潮」潜水艦ノ雷撃ニヨリ戦死傷損傷ヲ受ク』〕、輸送船団後尾にいた夏潮はスラウェシ島のマカッサル沖で米潜水艦S37(''USS S-37,SS-142'')の雷撃に遭った〔。魚雷1本が艦中央前部機械室左舷に命中し船体に大破孔ができ、上甲板は膨れ上がった。また爆発と同時に九三式魚雷を装填していた2番魚雷発射管と測量儀が吹き飛び、被害箇所に近い位置にあった内火艇や探照灯も破壊された。これにより前部機械室と第三缶室が浸水、主機械破壊により航行不能となり左に2度傾斜したが、この時点では沈没せず僚艦黒潮の曳航でスラウェシ島ケンダリに退避する事になった〔#昭和17年2月二水戦日誌(3)pp.14-15『第15駆逐隊司令/夏潮2215(5°26.9′S・119°-6.6′E)ニ於テ輸送船団ノ後尾ニ続行泊地進入時、機械室附近ニ雷撃ヲ受ク 当時「スコール」アリテ視界狭小敵潜ト認ムルモ確認セルモノナシ|損害状況 機械室大破浸水3缶室浸水後部発射管吹飛バサレ目下2缶室補強実施中 艦傾斜左2°前後ノ吃水差特ニ大ナラズ。遮防終了次第黒潮ヲシテ曳航親潮ヲシテ護衛ノ上「ケンダリー」ニ回航ス。行方不明者 浅井機関兵曹長以下下士官2、兵5(機械室当直員)其ノ他重傷者6』〕。黒潮駆逐艦長によれば、当初は機雷による被害だと考えていたという〔#海軍駆逐隊(2015)188-189頁『僚艦夏潮の最後』〕。
2月9日7時15分、親潮より緊急電が発信された〔#昭和17年2月二水戦日誌(3)p.13『第15駆逐隊司令/夏潮沈没ノ虞アリ0715』〕。タナケナ島の南で風向が急変、急速に浸水が進んだ〔。手の施しようがなく〔、夏潮は次第に中央部が沈降し、つづいて艦首と艦尾を持ち上げV字型に折れ曲がり前後に分断されて8時43分に沈没した〔#昭和17年2月二水戦日誌(3)p.14『第15駆逐隊司令/夏潮ハ黒潮曳航親潮護衛ノ下ニ曳航状況調査中、中部ヨリ切断沈没、人員重要物件ヲ親汐、黒潮ニ収容セリ。誠ニ恐懼ニ堪ヘズ地点ニユト35〇八四三』〕。乗員は親潮及び黒潮に収容された。沈没時点の戦死者は8名、重傷者6名〔#昭和17年2月二水戦日誌(3)p.16『第一根拠地隊司令官/夏潮2月8日2215位置南緯5度36.9分東経119度6.6分ニ於テ輸送船団護衛中敵潜水艦ノ雷撃ヲ受ケ9日0843沈没、戦死者准士官1、下士官兵7、重傷者6、9日1300』〕〔#高松宮日記4巻97頁『○第一根拠地隊(九-一三〇〇)』〕。沈没地点〔。曳航失敗の原因について夏潮駆逐艦長は「被害認定が甘かった」と回想している〔。
なお『華々しく自爆して最後を飾ろう』という乗組員のはからいにより、爆雷に細工が行われた。水雷科員は投下器に装填中の爆雷全てを起爆深度を30mに設定、船体水没後、夏潮は巨大な水柱を上げ自爆した。佐藤(第15駆逐隊司令)は司令駆逐艦を夏潮から親潮に変更する〔#昭和17年2月二水戦日誌(3)p.16『第15駆逐隊司令/司令駆逐艦ヲ夏汐ヨリ親潮ニ変更セリ』〕〔『○司令驅逐艦變更 第三十二驅逐隊司令ハ二月二日司令驅逐艦ヲ刈萱ニ變更セリ/第十五驅逐隊司令ハ二月九日司令驅逐ヲ親潮ニ變更セリ』〕。僚艦に救助された夏潮の乗員はセレベス島ケンダリに入港後、日本海軍初の生き残りとして珍しがられ各方面から見舞い品が届き、親切にされたという。長井(夏潮艦長)は2月14日附で呉鎮守府附となり、夏潮駆逐艦長の職務を解かれた。
駆逐艦夏潮は2月28日、
第15駆逐隊〔#内令昭和17年2月(4)p.18『内令第三百六十六號|驅逐隊編制中左ノ通改定セラル 昭和十七年二月二十八日 海軍大臣 嶋田繁太郎|第十五驅逐隊ノ項中「、夏潮」ヲ削ル』〕、
帝国駆逐艦籍〔#内令昭和17年2月(4)p.18『内令第三百六十七號|呉鎮守府在籍 驅逐艦 夏潮 右帝國驅逐艦籍ヨリ除カル|昭和十七年二月二十八日 海軍大臣 嶋田繁太郎』〕
一等陽炎型〔#内令昭和17年2月(4)p.19『内令第三百六十九號|艦艇類別等級別表左ノ通改正ス 昭和十七年二月二十八日 海軍大臣 嶋田繁太郎|驅逐艦、一等陽炎型ノ項中「夏潮、」ヲ削ル』〕、
それぞれから除籍された。夏潮の残務処理は3月3日から呉海兵団内でおこなわれ〔『○残務整理 驅逐艦夏潮残務整理ハ三月三日ヨリ呉海兵團内ニ於テ之ヲ行フ』〕、4月6日に終了した〔『○事務所撤去 夏潮残務整理事務所ヲ四月六日撤去セリ 追テ自今特ニ必要書類ハ左ニ送付相成度/呉郵便局氣付 驅逐艦黒潮 藪下中尉|第二號敷設艇艤装員事務所ヲ四月十日附撤去セリ』〕。
第15駆逐隊は7月20日に陽炎型1番艦陽炎を編入するまでの間、3隻編制で行動することになった〔#内令昭和17年7月分(3)p.28『内令第千三百二十四號 驅逐隊編制中左ノ通改定セラル 昭和十七年七月二十日 海軍大臣 嶋田繁太郎|第十八驅逐隊ノ項中「陽炎、」ヲ削リ第十五驅逐隊ノ項中「早潮」ノ下ニ「、陽炎」ヲ加フ』〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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